2.植物の世界
(4)被子植物(単子葉類)のなかま
(11)おいしい植物の世界
(689)小麦・大麦

(花ちゃんの手作りクッキー)
「はい! できました。花ちゃんの手作りクッキーの完成です。」
「うわあー。おいしそうだね。うれしいなあ。いっただきまーす。」
「あっ! ちょっと待ってよ。これは、いつもお世話になっているモンタ博士にプレゼントするために作ったの。食べてもいいけど、少しだけね。」
「はい。分かりました。もぐもぐもぐ。これはおいしい! うまい! 感動だ。それにしても、花ちゃんはすごいね。でも、どうやって作ったの。」
「材料はね、小麦粉、バター、砂糖でシンプルに作るのよ。」
「へえー、そうなんだ。小麦粉って、パンを作るときの小麦粉でしょ。」
「そうよ。小麦粉はね、パン、うどん、中華麺、クッキー、スパゲッティ、お好み焼、おだんご、ホットケーキなど、なんだって作れるのよ。最高の食材ね。」
「そうか⋯⋯小麦粉ってすごいんだね。見直しちゃったよ。」
「世界で生産されている穀物(人が主食として食べる作物)では、1位のトウモロコシに次いで、2位が小麦で、3位がお米なのよ。」
「へえー、そうなんだ。ところでさ、小麦というのは、漢字で書くと小さい麦だよね。大麦というのもあるでしょ。どうちがうのかな。」
「そうね。そう言えば、大麦って、小麦と似ていると思うけど、何が大きいのかな。それから、大麦って何に使うのかな。分からないことばかりね。」
「そうだ。モンタ博士のためにクッキーを作ったんだよね。それをプレゼントしながら、いろいろとお話を聞いて、大麦についても勉強しようよ。」
「いいね、いいね。そうしましょう。」
⋯⋯ということで、二人でモンタ博士LABO(研究室)に行ったとさ⋯⋯。
「モンタ博士! こんにちは! 手作りのクッキーです。わたしたちからのプレゼントです。どうぞ、めしあがってください。」
「それはそれは、どうもありがとう。心より感謝します。では、いただきまーす。うっ! あっ! これは、うまい。最高。おいしい。さあ、みんなも食べよう!」
「では、またまた、いただきまーす。ところで、モンタ博士。クッキーは小麦粉を材料にしていますが、大麦というものもあるんですよね。」
「それで、大麦についてくわしく教えてもらおうと思って来たんです。」
「そうかそうか。何事も学ぶということはすばらしいことだね、モグモグ。それで、大麦について、何を知りたいのかな、モグモグ。」
「えーっと、いろいろとありますが、まず、大麦はもちろんだけど、小麦についても知らないことばかりだし、正直に言うと、見たこともないんです。」
「いいんだよ。正直が何よりさ。あっ! そうだ。この前、ある畑で、小麦と大麦を育てていたので、少し分けてもらってきたばかりだよ。さあ、見てごらん。」
「くらべてみるということが大事だと思うよ。何か気がついたことがあるかな。」
「小麦も大麦も同じようだけど、少しちがいますね。」
「そうね。小麦の方がヒゲみたいなものが少し短いし、バラバラって感じです。」
「そうだね。大麦の方がヒゲみたいなものが長くきれいに上に向かっているよ。それに、上から見るときれいな六角形をしているようだよ。」
「二人ともよいところに気づいたね。ヒゲみたいなものを、むずかしい言葉で『ノギ』というんだけど、そこがまず一番のちがいだね。」

(コムギ・オオムギのノギ(ひげ)の長さくらべ)
「小麦というから、粒が小さいと思ったけど、そうじゃないね。」
「そうなんだ。大麦と大きさはそんなにちがわないんだ。名前とは無関係だね。」
「ちょっと見た目では、あまりちがいが無いということは、中身がちがうということなのかな。」
「そのとおりなんだ。中身がちがうから、使われ方もちがうということなんだ。」
「使われ方ですか。つまり、どんなものを作るかということですね。」
「そうだね。小麦はパン、うどんなどを作るだろう。つまり、小麦にはねばりと弾力性があって、パンをふっくらとさせたり、うどんではコシを出したりしてくれるんだ。」
「では、大麦はどうなのですか。」
「大麦は、小麦ほどのねばりはないけど、水を吸う力、つまり吸水力というものが優れているのが特長なんだよ。」
「吸水力がすごいと、どうなるのですか。」
「大麦はその吸水性の良さを生かして、麦ごはん、みそやしょう油などの調味料、そして、ビールの原料としても使われるんだよ。」
「なるほど、そういうことですか。小麦と大麦のちがいについて、とてもよく分かりました。」
「どうもありがとうございました。それでは、まだクッキーが少し残っていますから、小麦粉で作ったおいしいビタミンi(愛)たっぷりの、花ちゃんクッキーをみんなで食べることにしましょう、モグモグ。」
「そうだね。では、小麦が活躍した花ちゃんの、ビタミンi(愛)たっぷりのクッキーをみんなで仲良く食べよう。そして、モンタ博士は、大麦が原料の、これまたとてもめちゃおいしいビールを飲むことにしよう。花ちゃん・オー君! もう少し大きくなったら、いっしょに飲もうね。カンパーイ!」
大麦とビール
なぜ、モンタ博士はビールを飲むかと言うと、そこにビールがあるから、なんちゃってね。ここからは真面目なお話ですが、ビールには大麦が適していると言われますが、それには明確な理由があるのです。特にビールには二条大麦という品種が良いとされています。それは、殻粒がとても大きく均一であり、デンプン質の含有量が適切であり、優れているからなんです。また、発芽力や酵素力にも顕著に優位であり、お酒造りの最適なパートナーとなっているのです。ビールの他に麦焼酎やウイスキーの原料にもなっています。なお、小麦麦芽のビールもあり、苦味を抑えて清涼感のあるフルーティーな味わいが楽しめるそうです。どちらにしても、モンタ博士は大のビール党であり、どれも皆おいしいです。乾杯だ!