2.植物の世界
(2)葉・茎・根のつくりとはたらき
6.その他
(4)実験・観察・調査から
(688)泡を出すアワブキという植物
「モンタ博士! 何をやっているのですか。」
「七輪や豆炭もあるし、あっ! 分かった。おもちを焼くのですか。」
「わたし、おもち大好きです。おしょうゆもいいけど、きなこが最高ですね。」
「ぼくは、あんこを入れて食べたいです。」
「残念だけど、今日は実験をするんだよ。でも、終わってからおもちを食べるのもいいねえ⋯⋯。でも、ともかく実験開始だよ。」
「モンタ博士! 実験とは、どんな実験なんですか。」
「それはね、木を燃やすんだよ。」
「木を燃やす! キャンプみたいですね。いや、キャンプファイヤーかな。」
「残念だけど、キャンプではないんだよ。でも、終わってからみんなでキャンプファイヤーも楽しいねえ。」
「ただ、木を燃やすだけですか。」
「ここからが大切なポイントなんだけど、『アワブキ』という名前の木を燃やすんだ。」
「『アワブキ』⋯⋯聞いたことのない木ですね。花ちゃん、知ってる?」
「わたしも知りません。その木がどうかしたんですか。」
「この『アワブキ』という木を燃やすと、泡のブクブクが出てくるそうなんだ。植物図鑑などには書かれているけど、実際に本当に泡が出てくるのか、自分で確かめてみたくてね。」
「泡がふき出てくるので、その名前になったのですね。おもしろいですね。」
「楽しそうな実験ですね。ぼくたちも何かお手伝いします。」
「でも、今日は火を使うので、見ているだけでいいんだよ。どんなふうに燃えるか、どんな泡が出るかやってみるから、しっかりと見ていてね。」
「分かりました。あまり近づかないようにします。」
「あっ! そうだ。説明するのを忘れちゃったけど、アワブキの木だけではなく、他にも、ふつうの雑木林などで、よく見られる木もいっしょにやってみるよ。」
「分かりました。他の木とくらべるということですね。」
「くらべれば、その特徴がより分かるということですね。」
「何という木といっしょに燃やすのですか。」
「コナラ、クヌギ、ヤマザクラ、エゴノキ、アワブキ、エノキ、アカシデだよ。」
「雑木林にふつうに見られる木ですね。」
「そうだよ。それでは、モンタ博士の『アワブキ実験』の始まり始まり!」
「あれあれ? さっそく泡が出てます。」
「他の木からも少しは出ています。」
「でも、一番はアワブキです。」
「どんな泡かな。言葉で言ってごらん。」
「泡が小さく、クリーミーな感じですね。」
「うわあー。おどろいたね。他の木ではあまり泡などないけど、さすがアワブキですね。すごい泡ですね。」
「この実験は、今までにやってみたいと思っていた実験なんだよ。今回できてとてもうれしいなあ。」
「ところで、モンタ博士。この泡の正体って、いったい何なんですか。」
「それはいろいろと調べているんだけど、今いちよく分からないんだ。まあ、これから少しずつ調べようと考えているんだ。それでは、おもちを焼いたり、みんなでキャンプファイヤーをやって楽しもう!」
アワブキと泡について
アワブキという木は、本州、四国、九州、朝鮮半島、中国に生育する落葉高木で10mを超すようになり、直径も30cmほどになるそうだ。分布は広いが、それほど個体数の多い木ではない。また、材は割れやすく狂いが生じることが多く有用な木ではなく、正に雑木であり、あまり見向きもされない木である。ただ一つ、個人的な意見を言わせてもらえば、この樹木の自慢できるところであり、お気に入りなのは、タテハチョウ科のスミナガシという、それはそれはとても美しく、渋い和風の雰囲気の色合いをもつチョウの食草であることだ。
今回の実験を実施するにあたり、なるべく条件を同じようにしたいと考え、同様の長さ・太さのものにした。また、アワブキは雑木林などでも時たま姿を見せる木なので、里山環境で普通に生育している樹木がよいと思い、上記のものを選択した。また、一種だけでなく、他の木との比較対照することで、その特徴がより鮮明になると考えたからである。なお、今回は伐採してから10日ほどのものを使用したので、生木の状態であった。そこで、3か月後・半年後など、乾燥させたらまた違う結果が出るかもしれないと考えられるので、ぜひ実施してみたい。